第58章 光

「冨岡さんとやたら仲良くなってるし……」
「俺と義勇さんは元々仲良しだぞ？今回はだいぶお世話になったけどな。お前が心配することはない」


「炭治郎ともまた、こんな深い繋がりが出てきて……」
「え？ 俺っ？」
「あはは、炭治郎。善逸は俺たちのこと心配してんだよ。仲良しだから」
「善逸、それはないよ。俺には、ほら、あの、……善逸も知ってるだろ？」
「ほらな、善逸。炭治郎には好きで好きでたまらない、俺とは全く逆な感じの可愛い恋人がいるだろが。だから俺とはなんともないの」
「俺が濁したのにっ！やめてくれよ、光希」
「あっははは！……な？善逸」

光希が優しく微笑んで善逸を覗き込む。
それでも、まだ納得していない感じの善逸。


「光希は、炭治郎の……何なの？」
「だから、それは聞かないほうが……」
「教えてよ、光希」

光希は炭治郎の方を見る。
彼も、教えろという顔をしている。


「本にも……いっぱい出てきてたろ」
「ん？」
「なんで炭治郎は俺のことを『めっちゃん』って呼んでたんだろうな？」
「それは、嫁からの派生じゃなかったのか？」
「多分、違う」

うーん、と頭をひねる炭治郎。

「だから、炭治郎に考えさせないで光希！他にもいろんなこと思い出しちゃうでしょうが！あれやこれやと……」

「とりあえず善逸は聞かない方がいいと思うよ」
「気になるだろ」

「じゃあ筆談で俺にだけ教えて、光希」
「なるほど。妙案だな」
「やめてぇ！その二人だけの秘密共有のコソコソ感。疎外感で死にそうになるよ俺！」

善逸が二人の間に割って入る。


「仕方ねえな、炭治郎には必要なことかもしれないからな……善逸、落ち着いて聞けるか？」
「おう」
「気絶すんなよ」


光希がしぶしぶ口を開く。

「おばあちゃんが言ってたこと。
『光希は、炭治郎と離れてはいけない。いつも側にいて、仲良くしなさい。光希、炭治郎をお願いね。あなたは炭治郎の……、』」


「『運命の子、だから』」


炭治郎と光希の声が重なる。