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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第43章 覚悟 2


歩きながら、上弦との戦いについて話をきく。

「炭治郎も頑張ったんですね」
「凄かったよ、炭治郎。もう柱にしてもいいんじゃない?」
「そこまでいきます?時透さん」
「……ねえ、光希」
「はい」
「なんで俺に敬語なの?」
「え……」
「歳も上なのに。普通に話してよ」
「……わかった。無一郎」
「いいね」

「そこは、時透、じゃねえのか?」
「あ、本当だ。時透の方が短かった」
「短い?」

光希は呼び名のことを無一郎に伝える。


「へえ。なるほど。でも、俺は無一郎がいいな」
「そう?」
「この名前、気に入ってるんだ」
「わかった、じゃあ無一郎にするよ」
「へへ。ありがとう」

無一郎がにっこりと笑う。
今までの彼からは考えられないその笑顔に、胸が暖かくなる。

自分より年下で、柱という重責を抱えるこの少年を光希は純粋に凄いと思った。


「兄さんのお墓の場所はわかるのか?」
「うん、思い出したよ」
「戦いの前に墓参りに行っといで」
「え…でも……」
「隊務より優先させて。ずっと無一郎を待ってるよ」
「わかった。……ありがとう」

無一郎は光希の手を繋ぐ。


「え?」
「こ、こら!時透!」
「駄目なの?」
「駄目に決まってんだろ」

宇髄が手を離させる。
案外手の早い無一郎に苦笑いする。


「ちぇ……深い意味はないのにさ」
「深い意味があったらもっと駄目だ!」

「……、さっきの黄色い頭の奴か」

無一郎からピリッとした気配がする。


「お、おい、無一郎、……怒りの矛先をあいつに向けないで」
「なんでだよ。それも承知なんだろ。そのぐらいじゃなきゃ光希と付き合っちゃ駄目だろ」
「で、でもさ、」

「光希。それは時透の言うとおりだ」
「天元さん……」
「お前が気にすることでも、庇うことでもねえよ。あいつが何とかすることだ」
「はい……」

――…あいつ、大丈夫かな


「お前が選んだ男だろ、大丈夫だ」

「……だといいけど」
「信用ねえのな」
「いや…うん、どうだろうな…はは……大丈夫だよ。多分」


べそをかく善逸の顔が浮かんでしまい、大丈夫です!と強く言えない光希はまた苦笑いをする。

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