第42章 覚悟
溜息を付いて、とりあえず部屋から出る。
……このままここに居たら、起きたときにぎゃぁぎゃぁ言うだろうからな
そこへ義勇が現れる。
「冨岡……」
「光希は」
「お昼寝中だよ」
「昼寝?」
「お子様だからな」
「具合悪いのか。熱出してないか」
「どうした。よく喋るじゃねえか」
「……泣いてないか」
「さっき泣いてたぜ」
義勇は僅かに眉をよせる。
「………泣かせるな」
「俺が泣かしたんじゃねえ」
「いいから、泣かせるな」
「お前、光希の父親かよ」
自分の前でもほとんど泣かない光希が、ここで泣いている。
余程追い詰められてるその様子に、義勇は胸を痛めた。
すると、急にすっと戸が開く。
目をこすりながら光希が顔を出す。
「あ、やっぱり義勇さんでしたか!」
「光希」
「どうぞ、中へ。あ、天元さん、これありがとね!俺ちょっと義勇さんと話あるからまた後で」
光希は手に持った布をひょいと上げて宇髄に見せ、そのまま義勇を招き入れて戸を閉める。
泣いていたと聞いたが、光希はケロりとしていていつも通りだ。
「大丈夫か」
「……とりあえず」
へへへ、と笑顔をみせる。
額に手を当てるが、熱はなさそうだ。
「辛くなったら、すぐに言え」
「はい」
「我慢するとまた倒れるぞ」
「流石に学びました」
「宇髄となにかあったのか」
「信頼関係構築中です」
「…………」
「ご心配なく」
「わかった」
また妙な事をやってるな、と思う義勇。
もはや深くは聞かない。