第42章 覚悟
部屋に付くと、光希は声をあげた。
「凄い!本が沢山ある!ひゃっほう!」
壁一面に並ぶ本を見て、笑顔を見せる。
その部屋は六畳くらいの大きさで、本棚と机、棚などの家具が置かれていた。
「あ、兵法書もわりとある。じゃ、持ってきた本は隠れ家に置くか」
「隠れ家……?」
「! いや、なんでもないよ」
珍しく不用意な発言をして、ビクッとする光希。
相当興奮しているようだ。
「心理、哲学、暗号解読、兵法、医学書、毒、……思った以上にあります。こりゃ凄い。おお!原文のままじゃん、これ!」
光希は本を数冊取り出して、嬉しそうにしている。
「お前は本が好きなのだな」
「はい!いくつか読んでないものもありそうなので、楽しみです」
「いくつか……ってお前、ほとんど読んでるってことか?」
「うん。師範の家にも相当あったから。でも、本は読んだだけじゃ使えない。理解して、自分なりの解釈をしなきゃな」
――凄えな
本棚を見ながら立つ少女に、素直に感嘆する。
「光希、気に入ったか」
「はい、とても」
「好きに使え。押入れの中の布団は使える状態だ」
「ありがとうございます!」
悲鳴嶼は満足気に部屋を出ていった。
「……駄目だ、ここに居ると読んじまう。腕組んどこう。危ねえわ」
「? 読めばいいじゃねえか」
「駄目。今はあんたが優先。本は、良くも悪くも一人になっちゃうからね。俺、本読み始めると何も見えなくなるの」
光希は笑って宇髄を見つめる。