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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第33章 恋人として


光希は、興奮しかけた気持ちをふぅと一息ついて落ち着ける。


「……だからね、言いたくなかったわけよ」
「それでずっと階級隠してたのか。俺が気にして落ち込むと思って」
「うん。……嫌だろうなって」


確かに光希は自分の能力をひけらかす部類の人間ではない。だが、ここまで男を立てるとは思っていなかった。

善逸は光希のこの考え方に驚く。


「お前、意外と男を立てようとすんだな」
「そうだね。宿屋の女将さんが影響してるのかな」

二人は女将の姿を思い出す。
徹底して男を立てて、常に旦那の後ろを歩く姿を。完全なる男尊女卑の世界。


「いや、あそこまでは出来ないけどね」

光希は自分で言い出しといて、冷汗をたらす。


「しなくていいよ。俺とお前は対等だ」
「うん」
「……対等っつーか、今やお前の方が上だしな」
「対等にしといてください」

「……病室で言ってた、俺に必要な『覚悟』って、それか?」
「……そう。珍しく大当たり」
「そうか。何だろうって気になってたんだ」
「よし、考えるのは良いことだ」



自分の彼女が、実は自分の知らないうちにすっごい出世してて、かつ重役を与えられそうになっている……

それを、お前は受け入れる覚悟があるのか。
その問いかけだったのだと善逸も理解する。


光希はそこをだいぶ懸念していたのだが、善逸はさほど気にしていないようだった。
「そんなこと気にしてたんだな」と笑う。


「はぁ……、なんだ。だったらもっと早く言っときゃよかったかな」
「そうだぞ?すぐ言えばこんなに複雑にならなかったんだ」
「やっぱり言わなきゃ伝わらないね」
「そうだな」

「考え過ぎも、良くないね」
「お前は考え過ぎなの」
「善逸は考えなさすぎ」


「だいたいさ、変な所に気を使うよなお前」
「そうかな」
「俺はいつもお前にケチョンケチョンにされてるぞ。とても男を立てているとは思えねえ」
「あはは、確かに!」


二人で笑う。

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