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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第29章 風


「うるっせーんだよォ、腰抜けチビが!すっこんでろォ!」

不死川に睨まれて、ひっと声をあげる善逸。


「だからそれやめろっつってんだよ!この悪人面が!善逸はな、これからにょきにょき伸びるんだよ!それに腰抜けじゃねえよ!背も剣術も、絶賛成長中だよ!」


「今、強くないやつに用はねえ!」

「ああ、そうかい。じゃあ他の三人の隊士に聞くんだな。まあ実際に鬼の首切ったのはこいつだし、あの人たちがどんだけ見てて、理解してて、分析出来てるかは知らねえがな!」

これは要らねえな、と書いた紙を丸めてぽいと投げる。
光希は不死川をギンッと睨み、不死川は青筋をたてて、頬をピクピクとさせている。


そんな中、善逸は、不死川を怖がりながらも光希が丸めた紙を拾って丁寧に広げ始める。


「善逸…?何して、」
「光希、キレんな馬鹿。お前の悪いところだぞ。わかるな。これは、何のためのものだ?」
「………」

善逸にそう言われて、光希は黙る。
口を尖らせながら、光希も丸まった他の紙を広げる。


「ほら」

善逸が片手を出すと、光希は黙ってスッと服から紙を出した。


善逸は六枚の紙をトントンと揃え、不死川に渡す。

「不死川さん、隊の為にお役立てください。光希のご無礼の数々、すみませんでした。俺も肝心な所を上手くお伝えできずに申し訳ありません」

そう言って、ぺこりと頭を下げる。



「……ね?シナズガワさん。善逸は腰抜けじゃないでしょう?」

落ち着きを取り戻した光希が言う。


「戦闘だって強いんですよ!」


不死川は、善逸の速さを思い出す。彼は迷うことなく上弦の目の前から光希をかっ攫った。



「……ま、多少はな」

不死川が紙を折り曲げてポケットに入れながらそう言った。


よっし!と声を上げて光希が喜ぶ。


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