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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第24章 雷の呼吸


「はい、俺の勝ち」

あんぐりと口を開ける子どもたち。



……あいつ、馬鹿じゃねえの?普通、負けてやるだろ? あんな小さい子相手に雷の呼吸使いやがった。えぐい。えぐすぎる。
やばい。泣くぞ、よし坊泣くぞ……



ドン引いた光希が冷や汗を流していると、意外にも歓声が沸き起こった。


「すげー!すげーっ!ぜん兄ちゃん!」
「いまのなに?もっかい!もっかい!」
「はやーい!すごーい!」


きゃっきゃして喜ぶ子どもたち。


「凄いだろーははは。じゃ、もっかい向こうまで走ってやらあ。見とけよ!」


善逸はまた光希のところまで一気に駆けてくる。


「大人気ない」
「大人じゃねーもん」


子どもたちは大喜びで駆けてきて、善逸に飛びついて楽しそうにしていた。


「どうやったらできるの?」
「そうだな。一杯走って頑張るんだよ」
「いつできるの?あした?」
「明日は無理だ。毎日走って、ずっとずっと先」
「ええー……」

「焦っちゃ駄目だ」

「むう……」
「頑張ってれば、ちゃんと出来るようになるから」


三人の頭をポンポンと撫でていく。


「わかった!まいにちはしる!」
「おう、頑張れよっ!」

「またあそんでねー!」
「おう」


三人に手を振って、帰路につく。


「チビたち、泣くかと思った」
「男があんぐらいで泣かねえよ」
「お前は泣いてたぞ」
「ははは、そうだな」


「……ありがとな、善逸」
「ん?何が?」
「いろいろ」
「またまとめやがった」
「へへ」
「どういたしまして」


竹林を抜け、しばらく歩いたら、どちらからともなくつながれる手。


ゆっくり歩きながら、二人の家へと帰った。



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