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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第22章 隠れ家 2 ※


「はい、水」

光希の心配とは裏腹に、善逸はケロリとした顔で水を差し出す。


「ありがと」

光希は受けとり、水を飲む。
羽織の前は片手で抑えている。

「落ち着いたね」
「……うん。本当にごめん」
「なんで?」
「なんでって……、引くでしょ……」

「え?何に?」

心の底から意外そうに善逸は目を丸くして聞いてくる。


「いや、だから、急に暴れだして叫びだして……」
「そんなん光希、よくある事じゃん」
「……言葉も酷かったし。雰囲気ぶち壊し」
「あはは。それこそ今更かよって感じだよ。慣れてるって」

善逸は光希の頭を撫でる。


「逆に、お前がああやって恐怖を抑え込んだのが凄いよ。俺は何も出来なかった、ごめんな」

「善逸は、何も悪くない。さっきからずっと謝ってる。謝らないで……」

光希が震える中、ずっと「ごめんな」を繰り返していた善逸。彼の優しさを思い、涙が出る。


「光希も、何も悪くない」
「言葉は、悪かったけど」
「あはは」

何時もの二人の雰囲気になってくる。


「ね、雰囲気ぶち壊しちゃったけどさ、仕切り直してもう一回いい?」
「……いいのか?大丈夫?」
「善逸となら、大丈夫」


光希は目を反らしながら、羽織を掴んでいた手そっと離す。前がはらりと開き、善逸も頬を赤らめる。
光希は髪を解く。美しい髪が肩下までふわりと落ちる。


「嫌だったら、すぐに言って」
「止まれるの?」
「正直、保証は出来ない……」
「じゃあ駄目じゃん」
「嘘。光希の為なら俺はいくらでも我慢するよ」


さっきと違って、冗談を言い合いながら善逸は光希を寝かせていく。恐怖を与えないように気を遣ってくれているのが嬉しい。

もう一度口付けから始める善逸。


「善逸……」

口が離された時に、光希が呟く。

「ん?なに?」
「ありがとう。大好きよ」

そう言って、にこりと笑った。

「……っ、馬鹿お前、本当に止まらなくなるっての……」


善逸は光希をぎゅっと抱きしめる。
光希も抱きしめ返す。


「止まんなくていいよ。もう、大丈夫だから」
「……光希。愛してるよ」


善逸はそう言うと、それを証明するかのようにまた深く口付けをした。

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