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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第21章 隠れ家 1


「え、光希……」
「なんだよ、音で気付いてなかったのか?」
「あ、ああ」
「顔はむこうで洗って。これ手ぬぐい」
「あの、」
「手ぬぐいは使ったら下の籠にいれとけ」
「ちょっと、」
「じゃ」


去っていった光希は、いつも通りの顔だった。怒りも悲しみも見えない。



ただ、善逸の話を聞いてくれない。

つまり……
言い訳は不要。何も喋んなこのクズ野郎。
ということ。

怒りではない。そう、これは、激怒、だ。


そう考えて善逸は震えあがる。



光希は裏庭に出る。空を見ると寛三郎が飛んできた。光希は寛三郎を抱き止める。

「寛三郎さん、おはようございます」
「オハヨウ、光希」
「案内、頼めますか?」
「義勇カラ聞イテイル」
「ありがとうございます。ではまた声かけますね」


光希は庭木の隅に寛三郎を置き、ちょっと待っててくださいねと声をかける。


「我妻は起きたのか」

戸が空いて、寝間着の義勇が顔を出す。酒が残っているのか、眠そうにしている。

「……はい」
「どうした」
「いえ」
「………」
「なんでもありません。いってまいります。義勇さんはお昼までお休みください。寛三郎さん、おかりします」
「……これを」
「寛三郎さんいるのに」
「一応な」


寛三郎を傷付けないように、義勇からこっそりと地図を受け取る光希。受け取る時にぽんと頭に手を置かれ、思わず涙が出そうになる。ぐっと堪える。


「……ありがとうございます」
「ああ」

ぺこりと頭を下げて光希は走っていく。
義勇は部屋に戻らずに縁側に座った。無表情のまま朝日を浴びている。


光希は台所に行き、千代からおにぎりをもらう。朝は寝てて食べないか移動になることが多いので、いつもおにぎりを作ってくれる千代。食べないときはそのままお昼ご飯になる。


光希はおにぎりを包んで背中に背負った。

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