第17章 友が起きるまで 3
光希は蝶屋敷の人たちに見送られながら出発していった。
善逸は何故だが光希の部屋から出たくなくて、光希が皆とかわす声だけを聞いていた。
安息の日々は終わったのだ。
一昨日善逸に指令が来たときから光希は戦闘態勢に入っている。言葉や表情が変わった。
でも、口付けの時に見せたやわらかな笑顔。善逸を心から癒やしてくれる大好きなあの笑顔を胸に焼き付ける。
善逸は椅子に腰掛けた。
綺麗に整えられている部屋が切なく寂しい。
「こりゃ、本当に衰弱死するかも……」
善逸は小さな声で、一人歌った。
待ちましょう 待ちましょう
あなたがここに帰るまで
待ちましょう 待ちましょう
いつまでも
いつか 夢みた場所へ 行く日まで
あなたのことを 待ちましょう……