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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第16章 友が起きるまで 2


泣いて嫌だと愚図る善逸を説得することが出来なかった光希。

とりあえず冨岡邸への帰宅日は未定として、刀の鍛錬を始める光希。庭で延々と素振りをしている。


腕の力が弱まっていて、すぐに痺れるように痛み始めたが、振り続ける。

もっともっと!腕がもげるくらいまでやるんだ!もっと、もっと!!
一心不乱に振り続ける。



時間が経つのを忘れて振っていたら晩御飯の時間になっていた。
一緒に食べようと誘いにきた善逸が、光希を見つけて「ぎゃあああ!」と叫ぶ。

「はぁはぁ、何だよ、善逸」
「光希!お前、背中!」
「背中?」
「血!血!血まみれ!」
「え?まじで?ヤバイ、服、汚れちゃう!」
「心配するの、そこじゃねぇ!」

善逸は光希の手を引き、「しし、しのぶさーん!」と大慌てで診察室に走る。

「大丈夫だって、痛くないし」
「駄目だ!ちゃんと診てもらえ!」

しのぶは背中を診てくれた。
治りかけのかさぶたが素振りで剥がれて出血しただけで、傷が開いた訳ではなかった。
しかし、くれぐれも無理はしないこと、と釘を刺された。

とりあえずホッとする光希。傷が開いていたらまた初めからになってしまう。
毎回病衣を汚す訳にはいかないので、今後は包帯を巻いて鍛錬しますと言って病室を出た。


外で待ってた善逸もホッとしている。
中での会話を聞いていたのだろう。

「だから、無理すんなっつったろ」
「かさぶたが剥がれただけだってば」
「こりゃ、任務復帰はまだまだ先だな。背中血だらけにしてるようじゃな。冨岡さんの所にも当分戻れないな」

若干嬉しそうな善逸を、むかついたからとりあえず小突いておいた。


一緒にご飯を食べる。

「なあ、光希。俺考えたんだけど」
「ん?」
「一緒に住もうぜ、俺たち」
「……は?」
「や、だから、冨岡さん家の側で二人で住もう」
「………」
「冨岡さん家の側ならさ、任務終わりにすぐ行けるじゃん。鍛錬しに行ったり、報告しに行ったり」
「………」
「どう?」
「どうって…それは……」


「お前は我妻光希になって、俺と同じ家で暮らすってこと」


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