第3章 彼女の思い…
八雲『ああ…。彼女がここに居るのは、彼を心配していたからだ…。』
そう言って、八雲が充を見る。そして晴香も充を見た。
充は、二人に見つめられて、首を傾(かし)げる。そして二人に言った。
充『えっーと…。さっきから何なんです。二人して鏡を見て彼女が居るとか…。ここにあるのは鏡だけですよね…?』
そう言いながら、充が晴香と八雲に問う。そしてその問いに、八雲が答える。
八雲『充さん。南野空さんと言う女性をご存知(ぞんじ)ですね?』
その名前を聞いた充が驚きに目を見開き、八雲を見ながら、答える。
充『空は、私の姉です。ですが何故(なぜ)貴方が姉の名前を…?』
そう言った充に、晴香がネックレスを差し出す。
晴香『あの充さん。このネックレスを見た事はありませんか?』
そう言って晴香が差し出したネックレスに、またもや充が目を見開き、驚いた顔をしながら晴香を見て言った。
充『これは、姉がしていた…。どうして晴香ちゃんがこれを!? それに、このネックレスをどこで?』
晴香『やっぱり、このネックレスは空さんのだったんですね…。これは、お店である女性が落としていった物なんです。』
充『しかし、私は姉をこの店で見た事は…。』
と言いながら、充が考え込んでしまった。そんな充を見ながら、八雲が答える。
八雲『当然だと思います…。彼女は亡くなっています…。』
八雲のその言葉に充が言う。
充『?! 今…なんて…。空が…姉が…もう…亡くなっている…と…?』
八雲『ええ、彼女はもうすでに亡くなっています。そして亡くなったのは…。事故にあって…ですね…。』
八雲が、鏡を見ながら言った。その八雲の言葉に鏡に映った南野空が答える。
空『ええ…そうです。』