第1章 弱い僕 (天祥院 英智)
僕の名前は、天祥院 英智。夢ノ咲学院の生徒会長。人によっては皇帝なんて呼ぶね。
呼吸を整えて、観客に笑顔で手を振る。講堂には虹の輝きが溢れていた。笑顔で一礼すると歓声が響き渡った。
天使を模した純白の衣装。天から遣わされた英雄だ。
止めることはできないよ。このステージは僕のものだ。
―――………夢を見ているみたいだ。
目を覚ますとそこは病室だった。窓から風が吹き込んできて肌を撫でる。今まで見ていた全てが夢だったら。そんなことを考えてしまうことがある。
けれど夢ではない。僕は生まれつき病弱だった。余命数か月と言われ続けて生きていた。貧弱な肉体を引きずって、純白の衣装で飾り付けて恰好をつけているだけなのだ。不思議と涙は流れなかった。ただ、無性に虚しさだけが込みあがってくることがある。
そんなことを考えているとふと声が聞こえてきた。