第2章 告白
「ラップバトルどうするの?」
「んーそもそもメンバー決めとらんしなぁ、やってみるか?」
「え、俺??ライブあるしバイトあるしネタ作らないといけないし」
「それゆーたらワイの方が忙しいけどな!」
「なんかムカツクけど反論できない」
「まっ冗談や、同業者とは組むつもりないからな」
「冗談なんかい」
誘われたのは正直嬉しかったけど足をひっぱりそうだし、冗談でよかったと思った。
その後は、お酒を呑みながら簓さんにネタのダメ出しをしてもらったり、簓さんの新ネタを見せてもらったり。
あとは、2人でイチャイチャしたり……。
いつもこんな感じ。
必ずお笑いの話になって暑い議論が始まる。
俺はこの空間がとても大好きだ。
それから数日。
毎日のようにライブやオオサカの番組に出ていた。
テレビのオーディションにいくつか受かっていたとマネージャーの筒井さんから連絡が入り仕事が増えてきたことを実感していた。
その筒井さんに朝から呼び出されて事務所にやってきたのだけど一体なんだろうか。
会って話すなんて大事な話?
龍太郎と事務所で合流してマネージャーを待つ。
龍太郎も内容は教えてもらってないらしい。
「お疲れさん」
背後から筒井さんの声が聞こえて振り向いた。
「お疲れ様です」
「会議室取っとるから」
筒井さんは一言言って方向を変えた、俺たちもその後ろを続く。
小さめの会議室に通されて席につくと、筒井さんは何か機嫌が良さそうに見えた。
「朗報やで」
「おっきな番組でも決まったんですか?」
「それに繋がるチャンスかもな」
俺たちは目を合わせた。
「トウキョウ進出が決まりそうや」
「え!ホンマですか!?」
「この前出た深夜番組のプロデューサーからレギュラーで出てほしいと連絡があってな。承諾するけど良えよな?」
「是非お願いします!ええよな!」
「ドッキリ…?隠しカメラある!?」
「本当にドッキリなら今の使えんで、気付いても気付かんふりせんと」
マジか……こんな早くくるなんて考えられない。
夢みたいだ。
こんなの二つ返事に決まってるじゃないか。
地方の芸人は二度売れないといけないと言われている。
オオサカで人気があってもトウキョウでは名前すら知られていないことはよくある。
全国で有名になるにはトウキョウに行くしかないんだ。