第2章 告白
そうもう一つの事件、
それは俺と簓さんが付き合っているということ。
といってもまだ一ヶ月しか経っていないけど。
いつしか簓さんを本気で好きになっていたことに気づいた俺はライブの帰りに気持ちを伝えることにした。
今の関係が崩れてしまうのは確かだし、ずっと憧れてきた先輩に言っていいものなのか迷ったけど、どうせ嫌われてしまうくらいなら。
「簓さんが好きです」
「ワイもやで」
「いや、先輩後輩としてとういう意味じゃなくて」
「わかっとるで」
「あのー、恋愛感情としてということなんですけど……」
「そやで」
「え?」
「ん?」
「ええええええええ!」
「うるさっ!」
「俺男ですよ!?」
「俺も男やん」
「そうですけど!」
「付き合おか俺ら」
「えええええええええええ!?」
「何自分で告っといて驚いてんねん」
「だって普通に断れると思って……」
「断った方が良かったんか?」
「ダメです!」
「ほんなら今日から俺らは恋人同士や!」
あっさり承諾した簓さんに拍子抜け。
嫌われるどころか好かれていたなんて。
いつから俺のこと好きだったんだろう?
何飲む?と簓さんが冷蔵庫を開けて聞いてきた。
「ビールで」
「つまみも出そか」
床に座ってテレビをつけようとリモコンを探していると横幅30cm程の箱が置いてあった。
何だろうと気になって開けてみるとマイクが入っている。
「それ、ヒプノシスマイクや」
「ヒプノシス………えええええええ!?」
「なんかデジャヴやな」
「何で簓さんが持ってるんですか!?差出人中王区!?」
「ホンマのリアクションおもろいわ」
箱の横に丸められた紙が無造作に落ちている。
それを開いてみると中王区からの手紙だった。
「ディビジョンラップバトルに参加して頂きますって書いてありますけど」
「そやねん、勝手やんなー!中王区さんは」
「こっちの方が事件じゃん……」
「事件?」
「いや、何でもないです」
「さっきから敬語~、次やったらチューするで!!衝撃過ぎてチュいチュいってか!!にゃはははは!!!」
でた、簓さんのit's 親父ギャグ。
“おもんな”と盧笙さんの声が聞こえてきそうだ。