第7章 恋歌エチュード
「2人共、あまり言いたくないのですが少しは反省したらいかがですか?」
不意に、オクタヴィネル寮の談話室でジェイドがソファに腰かけているアズールとフロイドに向かって言葉を告げた。しかし告げられた2人はキョトンとしていた。
「ジェイド、僕に反省ですと?言葉を慎みなさい。僕はいつだって職務を全うし真面目に働いていますよ。」
「そうだよーオレだって真面目に働いているよ?」
「そうですか、では今日の有様は一体どう説明するのですか?」
ジェイドがそういうと、2人は何もしゃべらなくなった。
・・・事の発端は数時間前に遡る
***
『ねぇお願い!あたし達をここでバイトさせて!!』
先日のアズールオバブロ事件から数日後の今日、突然モストロ・ラウンジにアイとユウが乗り込んできてアズールにそんな申し出をしてきたのだ。
「えぇ~ウナギちゃんうちに来てくれんのー?やったぁ~」
「…いいでしょう、特にアイさんに関しては女性ですので女性スタッフがいればそれを目的に訪れる客も増えるはず。」
『それに、あたしの歌があれば多少の演出にもならない?数時間に1回の歌謡ショーをするとかさ』
「ほほぅ、それは実に興味をそそるお話ですね。」
と、アズールに商売的な交渉までする始末だ。
・・・正確には、ユウ達のオンボロ寮は昨今のグリムのツナ缶の消費により非常に財布が寂しい状況下にありそれを解消するためにモストロ・ラウンジにバイトを申し付けたのだ。
でもそれだけでは簡単に雇ってくれないと踏んだアイは、自分の歌声を商品として売り出してそれによって伸びた売り上げの一部をせしめようと画策したのだ。
当然、儲けになる話に弱いアズールには効果テキメンで彼女たちはあっさりモストロ・ラウンジのスタッフになったのだ。