第3章 誘惑ボイス
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あれからまた数日・・・
学園内の一角、オンボロ寮の近くにある平地。ちょっと古びたベンチが置いてあるところで最近1人で歌を歌っている。
今日も、魔法の髪をもつプリンセスの魔法の花の歌を歌って過ごしていた。
「あぁ~白ウナギちゃん見ぃ~っけ」
『出た…。』
・・・この場所は、ユウにすら教えていないのにどこから嗅ぎつけたのかこの男は毎回現れる。
奴の名はフロイド・リーチ。
この前話しかけてきた食えない長身男と瓜二つの双子らしい
あたしのことを白ウナギとか呼んでくるこいつは、あたしの歌を評価するわけでもなくただ単にあたしのところへ来て聞くだけどいう感じ。
「白ウナギちゃん、今の歌知らないからさ~海の魔女の歌うたってよ。オレあれ好き~」
『なんであんたのために歌わないといけないわけ?』
「オレが白ウナギちゃんの歌が好きだから」
『…。』
こいつは・・・ホントに
気分屋だということはこの数日で分かったけど、それでもこの直球で来られるのは慣れてない。こんな風に純粋に好きだと言われるのは・・・あまりない
上辺だけとかの誉め言葉は嫌というほど聞いたけど。
『…あたし用事があるからもう行く。』
「・・・。」
古いベンチから立ち上がって奴から離れても、奴はなぜかついてくる。・・・どうしよう、用があるって嘘なんだけど・・・