第2章 幻影シンガー
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「レオナさーん、昼ご飯買ってきたッスよ~。」
「あぁ?あぁ…」
「あれ?もしかしてレオナさん、あの歌姫さんと会いました?」
草食動物が行ってすぐにラギーが戻ってきた。
頼んでいたサンドイッチはきっちり買ってきたから文句はなかったが、あの草食動物の事を出されてちょっとだけイラっとした。
「…だったらどうした」
「今すっごい話題っスよ?顔は美人でおまけにあの歌声。狙ってるやつが多いって言いますよ。」
「…キョーミねえ」
「あ、そッスか。んじゃオレも狙っちゃおっかな~。…ぁ」
俺にサンドイッチを渡してヘラヘラと話すラギーが俺を見た瞬間に顔を強張らせた。自分の顔は分からなかったが、あのラギーがうっすら怯えているようだった。
「あー…レオナさん、顔怖いッスよ。何すか?そんなに取られたくないんッスか?」
「…別に」
本気になったところで・・・と思ってしまった時、ラギーがニヤリと笑った。
「レオナさんが本気じゃないなら、オレは本気でいくっスよ?さっき一目惚れしちゃったんで。」
シシシっと笑って、ラギーはそのまま立ち去っていった。
・・・すぐに、あいつの歌を思い出した。
聞いたことのない曲だったのに、あいつの声がこう・・・ずっと耳に残ってるというか・・・忘れられない
それが、俺以外の誰かのものになる・・・
あ・・・やべ
草原が砂地になるとこだった。