第1章 彼と私
まぶしいなぁ…と朝日を手でさえぎる。
もう朝か…なんて思いながら起きると、そこは見慣れない場所だった。
「…忘れてた…」
はぁ…なんてのん気なんだ私は…
ふと視線を感じてその先を見ると、かかしも目が覚めたのか、こっちを見ていた。
「おはよ…かかし」
「おはよ、アンナ」
お互いにボサボサになった頭を掻きながら布団からでる。
それから、かかしはまた手際よく朝食を作ってくれた。
はー、またお世話になってるよ私。
簡単な朝食といえど、おいしいし。
そーいえば今日はその里長に会いにいかなきゃならないんだった。
かかしと私は準備をすませ、火影室といわれる場所に向かった。
木の葉隠れの里、三代目火影、猿飛ヒルゼンさまはこの摩訶不思議な話も疑いもせず聞いてくれた。
かかしのことをよほど信頼しているのだろう。
「して、これからどうするかのう…
調べるにしても、そう簡単に答えはでるまい。
アンナ、とりあえずこの里にとどまってくれるかの?」
「はい。そういっていただけるのなら私としてもとてもありがたいです」
どこにも行く場所なんかない。
むしろここに置いてください!涙 といった感じだ。
「そうか。しかし、おぬしにはちと窮屈かもしれぬが、万が一を考えて監視はつけさせてもらう。
こちらとしても、何があるかわからんでの。
かかし、そのまま、アンナの護衛と監視頼めるか?」
「ま、三代目がそういうのであれば…
俺は任務で家にいないことも多いし、俺がいない間は、結界の使用もしくは別の誰かに監視を頼みますし問題ないかと。」
次々と話しが決まっていく。
かかしのとこにお世話になるのか。
昨日すでに泊まらせてもらっているし、少しは気が許せた人だから私としてはありがたかった。
火影様は、優しい人だった。
器が大きいというか愛情深いというか。
たった一度会っただけでそれを感じるのだから、この里の人々からの信頼は厚いだろう。
今心から、落ちてきた場所がここであることに切実に感謝した。