第7章 それぞれ
私は日々追われるように仕事をしていて…
でも人のために役立ちたくて…
あの夜も仕事帰りで…今日も頑張ったって自分を褒めてて…
そう考えると、自分は今とは対照的な生き方をしていた。
過去の自分は人のために常に前向きに頑張っていたのだ。
そんな自分を自分で褒めてあげたいとおもうほど、あの見上げた星空が綺麗だったことも、自分へのご褒美だと思えるほど前を向いていた。
そうであった自分が、そのあとかかしの傍にいくことができ、彼の支えになれたのだ。
今の自分は…ただ悲しみにあけくれて泣いて、過去しかみてなくて前も見れなくて、心は死にかかっている。
仕事はこなしていたが、自分自身は抜け殻のようになっていた。
自分のことですらうまく扱えていないのに、今かかしに会ってもこれじゃだめだと思った。
かかしに会うことはあきらめない__
でもとりあえず、前を向いてすすまなきゃ。
もう過去にしがみついて泣くのはやめようと決意した。
かかし、私、しっかり自分を取り戻すからね。
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それから、前向きに仕事をこなした。
前よりも親身に患者さんのことを考えることができた。
人の生死について改めて考えさせられた。
自分自身が少しずつ前を向けていること、ビービーと子供のようにただ泣くことが減ったこと、心も、体も少しずつ健康になってきていることにうれしく感じれるようになった。
さらに半年たつ頃には、すっかり昔の自分をとりもどし忙しくも充実した日を送っていた。
かかしのことは思い出すと切ないが、彼に会うことはあきらめたわけではない。
自分の行っている方法が合っているのかもわからないが、うじうじし続けているよりもましだと思えた。