第6章 裏切り
暗部ろ班メンバーサイド
「今回の任務はこれだ。今から2組に別れて行動を開始する。ターゲットを見つけたら、まず合図をおくれ。
それから一気に挟み撃ちで攻撃に映る。
攻撃に入れば、援護として…‥」
今日もかかし隊長が淡々と今回の任務、作戦について説明する。
コピー忍者のかかしと他里から恐れられる異名をもつ人。
嘘か本当かは知らないが、仲間殺しのかかしとも聞いたこともある。
少し前なら、それも本当かもしれないと思ったほど殺気だっている姿をよく見た。
忍びとして憧れる存在であると同時に、自分も殺されるんじゃないかと思うほどの殺気。
だが、一時期そんな隊長にも変化があった。
隊長がとても優しいまなざしで自身の拳を見つめていた。
その姿を頻繁に見るようになったのだ。
気になっていた俺は、隊長とともに見張りをしているとき、なんとなく尋ねてみた。
「隊長…あの、拳を見つめて考えているような姿を最近よく見るのですが、手…どうかされたんですか?」
俺の質問内容に少し驚いたのか、隊長は少し右目を見開いた。
「あぁ…あれね。見られてたか。
んーあれは、なんていうか自分自身に言い聞かせているというか…誓いみたいなものだ」
「誓い…ですか?」
「あぁ。仲間を守ること、必ず生きて大切な人のもとへ帰ることへの誓いさ」
そういった隊長は今まで見たことない優しい顔で遠くを見つめていた。
俺はそれを聞いて、改めてこの人についていきたいと心から強く思ったことを覚えている。
だが、最近はその拳を見つめるまなざしがひどく切ない。時々前よりも殺気だって声がかけれないこともある。
あの日の事件…
いつも冷静な隊長がひどく感情をあらわにしていたことを思い出す。
かかし隊長…
俺の見つめる隊長は、今日も切なく自身の拳を見つめていた