第5章 嫉妬
すいれんサイド
かかしの彼女を探し当て、その姿を見た時にはもう我慢ができなかった。
気が付いたらその子の前に立って、殺気を放っている自分がいた。
あんたさえいなければ…
それは紛れもない本心。
忍びでもないこいつに、私達忍びの運命とその苦悩がわかるはずがない。
殺そうと思えば、こんな一般人などたやすい。
口には出さなかったが心ではそう思っていた。
と、その時、___
思ってもない人がやってきた。
かかし…
「殺気むける相手、間違ってるでしょーよ、すいれん」
そう言って彼女をかばう姿をみて心が痛い。
かかしこそ、私に殺気むけてるじゃん…
大切そうに見つめるその瞳に、自分が映っていないことが悔しかった。
あの頃、小さな手を互いに握りしめあって、守ってやるって言ってくれた人が、自分ではない人を優先していることにひどく嫉妬した。
戦乱の世で育った自分たちの気持ちは、幼いながらも本気だったのに___
また心の中に黒いものが広がる感覚を覚えた。