【カードファイト!ヴァンガード!】 ~クレイの神子~
第3章 宿主
数十分後__。
ハルカ「ん…?あれ、私…?」
目を開けると、見覚えのない天井。
確か、私はお店に…?
ぼんやりとした頭で、記憶を辿る。
ミサキ「急に倒れたんだよ。ここは店の二階。といっても、家なんだけどね」
ハルカ「あ、えっと…ミサキ、さん?」
ミサキ「ミサキで良いよ」
ハルカ「…うん。ありがとう」
何だか緊張してしまう。綺麗な髪、切れ長の瞳…同性から見ても、綺麗だと思ってしまう。
ミサキ「聞いたよ。あんた、いつ倒れるか分からないんだってね?」
ハルカ「うん、数年前からね…」
ミサキ「…辛くはないの?」
辛いかどうか聞かれて、一瞬どう答えていいか迷った。だけどミサキの瞳は真剣に私を見つめ、正直に話すことにした。
ハルカ「辛くないって言えたら良かったんだけど……」
ミサキ「そう…」
ハルカ「ごめんね?何か暗い話になっちゃったね?」
暗い顔をするミサキに、私は明るく振る舞う。
ミサキ「ううん、あんたは強いよ」
ハルカ「…!」
そう言って貰えるとは思っていなかったので少し驚いたが、何だか胸が温かくなった。
ハルカ「あ、ナイト達は?」
ミサキ「あんたの兄さんは下で待ってる。アイチ達は今日の所は一旦帰ったよ」
ハルカ「そっか…」
折角PAYクオリアを返してもらえるところだったのに…。
ミサキ「アイチから伝言。『明日の夕方、公園で待ってる』って」
ハルカ「!」
ナイト「ハルカ?起きたのか?」
話し声が聞こえたのか、ナイトが来た。
ハルカ「うん。心配かけてごめんね?」
ナイト「気にするなっていつも言ってるだろう?さ、そろそろ帰るぞ?」
ハルカ「そうだね。お世話になりました」
ミサキ「ええ。気を付けて」
ハルカ「…あ、ミサキ!」
ミサキ「?」
ハルカ「ありがとう」
ミサキ「…!」
『あんたは強いよ』__その言葉が嬉しかったから、改めてお礼を言う。
ミサキは一瞬目を見開いて驚いたが、すぐに元のクールな表情に戻り、その後少しだけ微笑んでくれた。