第4章 T.03
「……っえ…イギリス…?」
「…やっと起きた…ったく、なんてとこで寝てんだお前は…」
ゆっくりと目を開けると、あの白い世界と神様は居なく、代わりに庭園とイギリスが目に入った。
どうやらいつの間にか寝てしまっていたようだ。体に残る寝起き独特の気だるさで分かる。
本当に夢だったんだ…あれ…。
それにしても記憶がはっきりし過ぎている。ただの夢じゃなかったってことかなあ。
「おい、なにぼーっとしてんだよ大丈夫か?」
「いや…つい……、ん?てかイギリスなんでいるの?」
「上司のとこから帰って来たんだろーが。もうびっくりしたんだからな。家に帰ってみれば鍵はあいてるわ、家にお前はいないわ、探したら庭で寝てるわ……」
わあ、マジか。
話だけ聞いてるととんだおてんば娘だな私!
「…もしかして、心配してくれた?」
「はっ…!?何言ってんだよバーカ!そっ、そんなわけないだろ!!」
寄りかかっていた木から背中を離して、イギリスに近づいて質問してみたらツンデレで返された。
素敵なツンデレごちそうさまです、ふふふ!
「おら、調子乗ってないで家帰るぞ。風邪引いても知らねーからな!」
そんなことを言っていても、座っている私に手を差し伸べるイギリス。
夕日が逆光でイギリスを照らす。
キラキラしていて、とても綺麗だ。
そして、この手は私に差し伸べられている。だからこの手を取るのは私だ。
そんな当たり前の薄っぺらい幸福論を噛み締め、私は笑顔でイギリスの手をぎゅっと握りしめ家に帰るために立ち上がった。
「家帰ったら、夕飯?」
「そうだな。夕飯の時間か。今日は張り切って作るからな!」
「え、それはいい。イギリスの頑張ったご飯って大体美味しくないし。あ、そうそう。私がこっちの世界に来た理由が分かったんだよ」
「へぇー……そりゃあよかったな、ってええ!??」