第49章 対峙
俺たちはあからさまに置かれた手紙と転がっていたカフスボタンを手にまずは手紙を開いた。
そこには流麗な字が並んでいるが重要なのは中身だ。
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ここへたどり着いた諸君へ
君たちがティアナと会いたいなら記した場所まで来るといい。
いつでも歓迎しよう。
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余計な情報はない内容に早くティアナを迎えに行こうと馬車に急ぎ足で乗り込む。
それなのにエルヴィンは一旦、兵舎へ戻ると言い出した。
緊急事態じゃねぇか!と怒鳴っても俺だけでも向かうと馬車から馬を離そうとするのをエルヴィンは強い口調で止める。
聞いてられるかと頭に血が昇って胸ぐらを掴むが動じることなく「ティアナに危険はない。保護されている」と言い出した。
そんなもん信じられるか。
「ティアナを保護しているのはフェルンバッハ家だ。確かにディアナと組んでいるように思えるだろうがティアナを手元で保護する為の偽装で事前に打ち合わせは済んでいる」
そんなもん、どうでもいい。とにかくティアナのもとへ少しでも早く無事なのをこの目でみるまで安心できねぇ。
どうしても反抗する俺にしびれを切らしたのかエルヴィンが突然首の後に手刀を入れた。
途端に俺は意識が途切れた。
「いいの?エルヴィン」
「少なくとも冷静になってもらわねば話にもならない」
「起きたあとが私は恐ろしいね」
※※※
エルヴィンはフェルンバッハ家と密かにやり取りをしていた。
勿論、信用ならないエリーには知られないようエリーがついてこれないところでのやり取りだ。
そこには薄汚れた格好をしたディートリヒが直接いて始めは驚いた。
てっきり部下か手の内のものを寄越すと思っていたが彼に取ってティアナに関することは人任せにするつもりはない。それくらいに大事にしていると判断した。
エルヴィンにとってティアナも調査兵団の両方を選ぶしかないとどちらかを切り捨てるとするならばティアナを捨てねばならないと団長としての腹を括らねばならない。
しかしディートリヒとあって話せば役割を分担することで両方を守れる可能性が高くなった。
エルヴィンはそれに賭ける事にした。
例え、それがリヴァイとティアナを引き裂く結果に繋がるとしても恨まれると知っていても。