第3章 嘘の彼女
シカマルサイド
あっというまに六代目に彼女がいることが広まった。
ま、広まるにしてもここまで女達のたちが悪いのも驚いたが、これはあくまでも作戦で真実じゃねー。
言い出しっぺは、それも見越してのことだろうと、りかを見ると…
おいおい、めちゃくちゃ落ち込んでるじゃねーか…
ったく女ってのはめんどくせー…あいつの性格なら、笑いとばすかとも思ったけど、あの様子じゃあいつも少なからず六代目に気が合ったってことか。
ほんと無茶なこと提案しやがって。
仕事に支障がでなきゃいいが…
りかサイド
火影室にもどって私はまた仕事を再開した。
意外にも傷ついている自分がいる。
雲泥の差を実感して自己嫌悪になっているのだ。
「りか、どうしたの?」
かかし先生のほうをゆっくり振り向くと、こっちをみて笑っていた。
「なんか思い詰めてるみたいだけど。
めずらしく書類も減ってないし」
横をみると、シカマルがつんだであろう書類が、高々と並んでいた。しまった、仕事にも手がついてないとか、迷惑すぎる!
「す、すみません火影様。すぐに片づけます。
なんでもなくて…ただ‥」
「…ただ?」
「火影様って、改めて、いろんな意味ですごい人なんだなって…そう思いました」
「??」
「へへ。わけわかんないですよね。
独り言みたいなもんなんで気にしないでください。
さっ今日中に片づけますよこれ!」
そういって私は気を取り直して、仕事にとりかかった。
かかしサイド
りかの様子がおかしい。
いつも仕事をなんなくこなしているが、未だに書類は山積み状態で、本人はぼんやり遠くを見つめたかと思うと、また何度目かのため息をついた。
声をかけてみたけど、返ってきた彼女の返答は
「火影様って、改めて、いろんな意味ですごい人なんだなって…そう思いました」
ふむ…なんか隠してるな。
そう思ったが、話すにもタイミングというものがあるだろう。
今はとりあえず、深く聞かなかった。