第11章 蛇と蛙(伊黒小芭内)*
『ん………』
翌朝飛鳥は目を覚ます。
『あれ、私…』
まだ頭は回らずぼーっとしている。
「起きたか。」
『伊黒さん!?どうして…』
「…昨日のこと覚えてないのか?」
飛鳥はハッとする。
忘れる筈がない。
好きな人にたくさん愛してもらったのだから。
『あっ、服…!』
ビショビショになった筈の寝具は全て綺麗になっており、衣類もちゃんと着せてくれてある。
『あ、あの…すみませんでした…』
恥ずかしくなり、顔を真っ赤にさせながら小声で呟く。
そんな姿を見て小芭内はゆっくり飛鳥に近づく。
「…起きて早々そんな顔して、襲ってほしいのか?」
『ちっ違います!!!』
小芭内のつり上がった目が少し下がった。
『とにかくっ…!
血鬼術にかかってしまったとはいえ伊黒さん自身を汚してしまってすみませんでしたっ…
なるべく近づかないようにしますし、屋敷からも出て行くので忘れてください…』
そう言って部屋から出ていこうとする飛鳥。
「…昨日話したこと忘れたのか?」
だが小芭内に止められた。