第11章 蛇と蛙(伊黒小芭内)*
『ん……いった……』
どれくらい時間が経ったのだろう。
飛鳥は目が覚め頭痛に襲われた。
チャリ…
『え…なにこれ…』
手には手錠がしてあり動けなくなっていた。
『あ、私確か……』
少し混乱していたがすぐに思い出し状況を把握した。
「あ、起きた?頭は大丈夫?」
『…お前…何のつもり?』
「はは、お前呼ばわりは酷いなぁ。
僕は淫夢。
殺された魘夢の双子の兄だよ。
兄が死んだから僕が下弦の壱になったって訳。」
『…そんなことどうでもいい。
お前だね、この町の若い女性を拐っていた鬼は。』
「拐ったっていうのは少し語弊があるかな…
最終的に自分の意思で来てくれたんだし。
ま、ちょっと血鬼術使ったけど。」
『その女性たちを出せ!!!』
「え?彼女たちなら君の周りにたくさんいるよ!」
飛鳥は周りを見渡す。