第1章 この気持ち (時透無一郎) *
『失礼します…』
「…どうぞ。」
布団とテーブルしかないという
凄くシンプルな部屋…
でも霞柱様の香りが強くて
ドキドキするし…落ち着くな…
「…で?僕に話って何かな?
冨岡さん使ってまでわざわざ呼び出して
そんなに大事な話しなの?」
…相変わらず嫌味っぽい言い方するとこ
ほんと変わらないな…
と思わず微笑んでいると
「何?気持ち悪いんだけど。
用がないなら帰ってもらっていい?
僕、そんなに暇じゃないんだけど。」
と早速不機嫌になってしまった。
『あっ、すみません!
私、霞柱様にどうしても伝えたいことが
あって、、、
最後にするので聞いてもらえませんか?』
「…何?」
『あの、私…やっぱり霞柱様のことが
好きです。大好きなんです!
初めて会ったあの日からずっと…
気丈に見えていたかもしれませんが、
振られる度落ち込んでたんですよ。
それでも諦められなくて、
結果的に嫌な思いをさせてしまって
すみませんでした。
私は、霞柱様のその綺麗な瞳、
綺麗な長い髪、優しい声…
全部が大好きなんです。
…私、大切な双子の妹が鬼舞辻のせいで
自殺してしまったんです。
それからずっと鬼のことを恨んでいて、
妹のために恋愛もせず、
一生鬼殺隊として生きていくって
決めていたんです…
でも貴方と出逢って変わりました。
一目で貴方に恋してしまったから。
…それも今日で終わりにします。』
黙って聞いていた霞柱様が私の顔を見る。
『貴方に出逢えて、
初めて恋というものができて
私は本当に幸せでした。
いつも私の一方通行でしたが…
恋してるとき、本当に楽しかったです。
ありがとうございました!』
そう言い終えると私の目からは
ポロポロと涙が溢れ出した。
私はもうここにはいられない…と思い
立ち上がろうとしたその瞬間…
『きゃっ…』
体勢が変わった。
布団に押し倒されたのだ。
目の前には、大好きな、霞柱様の
綺麗な顔が。
じっと私のことを見ている。
「…誰が帰っていいって言ったの?」
その声がいつもの霞柱様の優しい声ではない。
このままここにいちゃいけない!
そう思ったが遅かった…