第5章 思い出の公園へ〈主人公目線・津軽目線〉
~主人公目線〜
「よし!お弁当は出来た」
我ながら、彩りよく出来たと思う。
津軽さん用カレー風味の梅干しのお握りに、わたし用の普通の梅干しのお握り。
鳥の唐揚げ、エビフライ、肉団子、ポテトサラダ、紅じゃけ、金平ごぼう、卵焼き、鰤の照り焼き。ブロッコリーとミニトマトも入れた。
味はどうせ 津軽さんは、津軽さん用マイスパイスを使う筈だから、わたし好みにした。
時計を見ると10:15。
まあ、同じマンションだから、5分で充分行ける。
そう思って、服装のチェックをしていると、玄関のチャイムが鳴った。
慌ててドアを開けると、津軽さんだ。
「お・は・よ・う。ウーサちゃん。準備出来た?」
「はい。お弁当も出来たし、準備万端です!」
「ウサちゃんの準備万端って、落ち度ばっかりでしょ?チェックしてあげるよ」
津軽さんは、そういうと、ズカズカと部屋に入って来て、
テーブルの上に置いていたお弁当箱を開けた。
「へー、豪華だね。俺の為に頑張ったんだ。ふーん」
津軽さんの付けてる高そうなコロンの匂いがふわっとして、
わたしは津軽さんの腕の中に閉じ込められていた。
心臓がドキドキして破裂しそう!
「瑠璃子ありがとう」
津軽さんが甘い優しい声で耳元で囁いた。
「こ、恋人っぽい!」
思わず零れた言葉に
「俺達って恋人じゃあないのか。そんな事言うなら、ここでキスするよ」
「え、遠慮しておきます!」
「何その遠慮しておきますって?俺ってウサちゃんのただの上司?」
津軽さんが抱き締めていた腕を緩めて、いつもの綺麗過ぎる顔で
わたしの顔を覗き込んで来る。
津軽さんの目の下には、くっきりとくまが出来ていて、疲れがみえる。
きっと、昨日あんまり寝てないのだろう。
「津軽さん、昨日寝ましたか?」
津軽さんが、無理して、わたしとデートしてくれていると思うと、
胸がキュンとするような痛いような気持ちになる。
「寝たよ。ウサちゃんは?」
「わたしは、充分寝ました」
「じゃあ、駐車場行くよ。荷物はこれだけ?」
津軽さんは、そう言うと、お弁当とお茶の入った魔法瓶を袋に入れて、わたしの手を握った。
それも、指を絡ませた恋人繋ぎで。
なんか、ドキドキしっぱなしなんだけど。
「ウサちゃん、火の元、電気全部大丈夫だよね?」
「はい。さっき確認しました!」
「OK」