第12章 三度目のあの公園 《津軽目線》
ウサが、修行施設内のパソコンを入力する前に、俺は、飛び込んで、ウサとテロを阻止出来るのだろうか?
俺は、修行施設に向かう車の中でじっとりと汗をかきながら考えていた。
ウサが、爆発で死んだ後に、俺が、あの施設で、また佇むのか?
あの時の様に.....
ウサが死んで、俺だけ生き残るなど、あってはいけない事だ。
子供の頃の、あの血なまぐさい惨状が蘇って来ては、頭の中でフラッシュバックした。
過呼吸が、起こる前の様に心臓が、バクバクと激しく音を立てた。
掃除当番は、既に始まっていた。
ウサの腕時計の盗撮器の映像を、黒澤が確認しながら、口頭でイヤモニで教えてくれていた。
ウサの声も聞こえて来ていた。
イヤモニを持たせていたのに、修行途中で壊れていた。
替えのイヤモニは、今日の朝 黒澤が、郵便受けの下にガムテープで貼り付けていたのに、ウサは、受け取ってなかった。
イヤモニは、新垣の指示で、信者の幹部に、収奪されていた。
事件が急展開して、イヤモニなしの捜査に変更せざる得なかった。
ウサの暗記していた、
パスワード『681843』
のぞみ680号18:43発 博多行きの、新幹線で 毒ガステロが起きる予定だと思われたが、
殺害目的の筈の大野は、この新幹線に乗る予定は、なかった。
この数字の羅列が、意味の無いものには、思えなかった。
何故なら、18:43分は、三十年前に、木内と新垣の出場した、甲子園球場での、試合終了のサイレンが鳴った時刻だったから。
大野が新幹線のぞみ680号に乗らない事で、のぞみ680号18:43分発、博多行きでのテロは、見直しされようとしていた。
しかし、18:43分博多行き、新幹線のぞみの乗車予約客の中に
現財務大臣大野の、愛人の 内宴妻代の名前があった。
愛人は、警備対象外だった為 見落とされていた。
愛人の名前に気が付いたのが、16:56分だった。
俺は、大急ぎで面パトに乗り込んだ。
時計の針は、17:00分を確認。
車をF山の修行施設まで、無我夢中で走らせた。
警察庁から、無我夢中で走って、F山の麓に着いたのが、17:59分だった。
瑠璃子は、常に、イヤモニなしで、盗聴器と盗撮器の内蔵された腕時計を使って、自分の掃除状況を報告していた。
「津軽さん!!瑠璃子さんが、部屋に入りました!!!!」