第9章 潜入捜査〈主人公目線〉
わたしと百瀬さんは、信者の一人が、運転する白いバンに乗って、F山に向かっている。
車内には、教祖新垣の、公演説法が流れている。
この教団は、キリスト教 仏教 ヒンズー教全ての教義を含む難解な宗教的信条を持つ。
それらを覚えて、修行施設で行わないといけない。
この教団の教義は、大まかには、頭に入っているが 細部を覚える時間はなかった。
公には、されてないけども、銀室長が、捜査を急いだのも上からの圧力があったようだ。
車に揺られ、1時間ちょっとで、車がF山に入った。
F山には、様々な信仰宗教の施設がある。
公安の監視下にある教団も他にない事はないが、今のところ
【愛の下僕会】が一番危険視されている。
「もうすぐ愛の家です。皆さん 神の門に入る時は、心からの愛と感謝を神に捧げて下さい」
信者の女性が、言った。
わたしと百瀬さんは、いかにも、神に祈ってるかの様に手を合わせて、その修行施設の門をくぐった。
修行施設に着くと、わたしは、女性信者用の部屋に案内された。
二段ベットが四つ。8人部屋だ。
8人から情報を与えられるのは、助かるが、自由に動くには、かなり注意が必要だ。
運良く入口の側の二段ベットの下が、わたしの就寝スペースだった。
わたしは、腕時計の盗撮器で部屋をぐるりと盗撮した。
この情報は、常に待機している公安刑事の方で確認されている。
信者の女性に修行用の白い上下のジャージを渡された。
これに着替えると、女性信者は、信者用の部屋の案内をした。教祖の住居は、やはり、奥まった場所にあり 一般信者では
入り込めない場所の様だった。
通路を歩きながら、部屋をチェックして行くと、パソコンが、多く置いてある部屋があった。
この教団は、大きく分けて、総務部 法務部 財務部 厚生部 広報部 科学技術部 医療部に別れていた。
各部には、すぐには、配置されない様だった。
偽の履歴書を提出していた。
金融機関に務め、IT企業にも在籍してた事になっている。
わたしは、どこに 配置されるのだろうか。
配置場所に寄って、捜査に大きく違いが出てくる。
資金の流れを洗うなら、財務部がやり易いかもしれない。
そんな事を考えながら歩いていると、修行の道場に連れて来られた。
百瀬さんの姿もある。
今日 修行に入るのは、わたしと百瀬さん以外 男性三名 女性二名だった。