第3章 1日目 ―宴―
神楽を歓迎する宴は、それから数時間と経たぬうちに行われた。
謙信や信玄を始めとした名だたる武将に、その武将達に仕える熱烈な家臣。
いるだけでも相当な迫力を放つ面子は、神楽の肩身をより狭くさせていた。
「さあ、好きなだけ食べていいよ」
「あ、ありがとうございます……」
好きなだけ食べていい と信玄に言われるものの、神楽もそこまで馬鹿ではない。
のうのうと料理に手をつけるわけにもいかず、近くの武士と軽く談笑することだけでもう満腹だった。
「何を呆けておる。早く食え。」
「はっ……す、すみません。」
明らかに挙動不審な様子の神楽を、謙信は心底の嫌味をたっぷり乗せて睨みつける。
(この空気……苦手だ……)
『歓迎の宴』というのは、ただの面目上。実際には、謙信のように拒む人も少なくなかった。
現に、宴が始まってからというものの、
コソコソと神楽の悪口を言う男共も、
チラホラと見かけられる。
そんな様子に、忍びでもあり暗殺者でもある神楽が気づいていないはずがなかった。