第1章 ツンデレ彼氏で困ってます① ➛ 家康
――翌日
「…………ん」
(あれ、朝……?)
いつのまにか閉じていた瞼をあけると、目の前に一瞬だけ、白い世界が広がった。
だが、それはすぐに、隣で寝ている愛する人の……家康の寝顔へと、姿を変えた。
(家康の寝顔って、可愛いな……)
意外な事実を知ると、なんだかおかしくなって笑みがこぼれてしまった。
「ふふっ……」
「───なに、人の顔見て笑ってんの」
「へ……わぁ!?」
たくましい腕にぎゅっと抱きしめられる。
「家康……起きてたの?」
「うん、あんたが起きる前にね」
「え!」
(それなら『おはよう』って、言ってくれてもいいのに……)
寝ていると思っていた人が、突然起きて話し始めたら、誰だってびっくりする。正直、心臓が飛び出るかと思った。
「……で、何で笑ってたの?」
「うっ……そ、それは……」
コツン、とおでこをくっつけて、至近距離で理由を聞いてくる家康。
逃がさまいと言わんばかりに、じーっと翡翠色の目は私を見つめている。
「い、家康の寝顔が……そのっ…………可愛いなぁって、思って……」
甚だしい嘘をつけるはずもなく、正直に思ったことを照れながらも話した。
それを聞いた家康は、耳まで赤くしたのを悟られないよう、ふいっとそっぽを向いてしまった。
……けど、目だけはこちらをチラッと見ている。
「なにそれ……あんたの方が可愛すぎて、どうにかなりそうなんだけど」
「っ……」
熱を灯した家康の瞳は、翡翠色に透き通っている。きっとこれから何度でも、私はこの瞳を見つめていくんだ。
(やっぱり、勝てそうにないです)
家康のツンデレには一生勝てないなと、心の中でクスッと笑ったことは、秘密にしておこう。
☆ ツンデレ彼氏で困ってます① END ☆