第8章 8
かかし先生が到着し、先生と香蓮さんを見送る。
わたしは、もちろんこっそりついていくのだが、用事をすませて、途中から合流するということにしておいた。
「えま。先に里のこのコースあたりを散歩してるから早くきてね!」
「わかりました!とりあえず用事ちゃっちゃとすませてきますね。かかし先生、香蓮さんを頼みます。
あとで追いつきますね」
「りょーかい。じゃ、いきますか」
二人を見送る。
うち的には最後の帰り道くらいで合流できりゃそれでいい。あとは、めちゃくちゃ感知のいいかかし先生に気づかれないようにするくらいだな。
かかし先生と香蓮さんは、里にあるお店のものを眺めたり、人と話したりと穏やかに散歩をしていた。
あー香蓮さん、めっちゃたい焼き買い込んでるし。
はいはい、といいながら、かかし先生が甘やかして買い物していく。
ほぼ買ってるの食べ物やん(笑)
今度は少し人通りが少なくなった橋の上で、川の流れをみている。香蓮さん、きっと魚とかみるのに夢中なんやろうな(笑)案の情、「あそこにいた!」なんてはしゃいでいた。
「かかし。」
「なぁに?」
「私さ‥‥少し前よりも今を生きてるって実感できるよ。
…かかしもそう感じる?」
「ああ。俺もそう感じるよ…えまの‥おかげだね」
「うん…できるならさ、もう少し長く生きてみたい…かな。
かかしと、えまともう少し一緒にいたいな…なんてさ。
珍しいでしょ私がこんなこと望むなんて。」
かかしは眉をさげて笑って、香蓮の手をぎゅっと握りしめた。
二人とも覚悟ができていたはずだったのに。
「かかし…今になって私…死にたくないよ…」