第1章 ひまわり×家康
愛しさがこみ上げてきて、その細い体を強く抱きしめた。
着物じゃない分、いつもより近くに熱を感じる。
「あんた…いい加減にしてよ。可愛すぎるんだけど。」
「そっ、そうかな…?」
「そうだよ。それに、自分が可愛いって事、もうちょっと自覚して。」
伝えながら、腕に力がこもる。俺がちよを可愛いと思うほど、周りの人もきっと同じように感じるはずだから…離したくなくて、誰にもとられたくなくて、苦しくなる。
「みんなが褒めてたのは、服のことだよ。」
「そうかもしれないけど…それだけじゃない。
前にも言ったけど、あんたは他の男に無防備に接しすぎ。」
この愛らしい姿を見られたのも、城で俺の知らない所で楽しげに話しているのも、嫉妬せずにはいられない。そんな自分のどうしようもなさに気づきながらも、思いを止められなかった。
「あんたはこの花にそっくりだ。眩しいのに、目を離せないし、見る人を惹きつける。」
「家康…」
「……ごめん…俺、みっともない。」
「…じゃあ…家康は太陽だね。」
「え…?」
「知ってる?この花はね、いつでも太陽に向かって咲くんだよ。太陽がくれる暖かな優しい光に焦がれて、いつも太陽を見てるの。」
「それって…」
ちよは、俺のことをいつも見てるって言いたいのか?
「っ…だから、可愛すぎるってば!」
嫉妬に駆られていたのが馬鹿みたいだ。この子はこんなにも真っ直ぐに想ってくれている。そんなこと、疑うまでもなかったはずなのに…一人で焦って心を乱して、何やってるんだろう。
俺を瞳にうつして笑うひまわりのように朗らかな顔。俺に好きだと伝えてくれる優しい声。その全てが改めて愛おしくてたまらない。
「ちよ。」
「なに?」
「そんなに可愛いこと言うから、今すぐあんたを抱きたくなったんだけど。」
「なっ!? 何言って…!」
抑え切れないほどの幸福を前に、御殿まで我慢する余裕はもうなかった。