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乱世に咲く花詞【イケメン戦国】R18

第2章 しろつめくさ×秀吉


最後に簪をさして鏡で身なりを確認して…いざ向かおうと部屋を飛び出した瞬間に、何かに勢いよくぶつかってしまった。


「す、すみません!…って秀吉さん!?」

「ははっ、慌てすぎだ。」


さっきまで女中さんが声をかけてくれていた障子の先にいたのは、ずっと待ち続けた人だった。バランスを崩しかけた私の体を咄嗟に受け止め、肩を押さえて支えてくれる。


「えっ!えっ?なんで!?お城に帰ってくるはずじゃ…あっ、お帰りなさい!」

「落ち着け、ちよ。」


可笑しそうに笑う秀吉さんと、周りでくすくすと笑う女中さんたちの様子から、私だけが知らされていなかったのだと気づく。


「ちよが数日前から待ちきれない様子だって聞いてな。俺も早く会いたくなって、飛んで帰ってきた。」

「秀吉さん…」

「彼女たちに頼んで黙って帰ってみたけど…いつもこんな風に迎えに行こうとしてくれてるんだな。知れてよかった。」


秀吉さんの手が頭におりてきて、優しく撫でられる。じんわりと外側から伝わるぬくもりが、生きて帰ってきてくれたという実感となって、喜びの涙で視界がぼやける。


「よかった…帰ってきてくれて。おかえりなさい。」

「ただいま、ちよ。」


改めて言葉を交わし、目を合わせて笑う。いつの間にか女中さんたちも下がっていて、私たちはそのまま部屋に戻った。


「あっ、帰ってきたら渡そうと思ってたものがあるの。」

「ん?なんだ?」

「じゃーん!あの布で作った羽織!」

「へえ、よくできてるな!…けど、俺のものばかり作ってもらって悪いな。気に入った布地だったんだろ?」

「ううん、もともと秀吉さんのものを作ろうと思ってたから。」

「そうか…ありがとう。」


羽織を広げようとした時、秀吉さんの手が私の手に重ねられて制止された。


「秀吉さん?」

「悪いが…後でもいいか?

…着てもすぐに脱ぐことになる。」


瞬時に言葉の意味を理解して、一気に身体が熱くなる。

秀吉さんは懐に手を入れて、何かを取り出した。それは、出陣前に渡したクローバーのお守りだった。


「これに願ったことがあってな。まだ叶ってないんだ。」

「えっ、必勝祈願とかじゃなかったの…?」

「うーん、当たらずとも遠からずってところだな。」

「じゃあ…願ったことって…?」
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