第15章 引き合うさびしさの引力
いよいよ、別れの時がやって来た。
時刻は朝の6時。
朝早い時間ではあるが、彼女と関わりがあった者は皆んな鏡の間に集まっていた。
ユウは部屋を見渡す。
フロイドが、フロイドだけがいない。
ユウは無意識にジェイドとアズールに視線を向けるが、彼らは目を伏せ首を振った。
最後なのだ。
これで。
もう二度と会えないかもしれないのに。
会いに来てくれないんですね、フロイド先輩。
ずっと好きでいてくれるって言ってくれたのに、だから言ったじゃないですか。
フロイド先輩の言うことは信用出来ないって。
「準備はいいですか?ユウさん」
学園長が、闇の鏡の前に立ちながらユウに声をかける。
ユウはそれに頷くと、グリムに視線を向け、蹲み込んだ。
「グリム」
「ユウ〜〜……!」
「立派な魔法士になってね。
その為には、授業中に居眠りしちゃ駄目だよ。約束だからね」
「わ、わかったんだゾ!」
ユウはグリムの頭を撫でてから立ち上がり、エースとデュースを見る。
「2人とも、グリムのことお願いね」
「あぁ、任せとけ」
「お前も、オレたちがいないからって泣くなよ」
エースの言葉にユウは「泣かないよ」と反射的に強がりを言った。
きっと泣いてしまうということは彼女自身わかっていた。