第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2
ユウが故郷に戻る日まで後3日となった。
まだグリムと先生方以外はそのことを知らない。
何故皆んなに言わないのか。その理由は1つだけで、彼らには帰るその時までいつも通りに接してほしいからだ。
物凄く自分勝手な理由だということは分かっているのだが、きっと帰ることを告げれば、皆んな気を使うに違いない。ホーリデーにも関わらず学校に戻って助けようとしてくれたエースとデュースなんかは、きっと特にそうだ。
皆んな落ち込むのかな。
私がいなくなったら泣いてくれるのかな。
皆んなが泣くのは嫌だけど、でも泣いてくれたら嬉しいな。
自分勝手な心がそう脳に呟く。
いやいや、ダメダメ何言ってるの。
ユウは心の声を否定した。
学校に行くと、エースに放課後何でもない日のパーティーに来ないかと誘われた。
ユウは勿論それに頷くと、エースもデュースも嬉しそうに笑う。
そして「なら寮長にも連絡しとかないとな」と、デュースがスマホを出しリドルに連絡を入れた。
「今日のトレイ先輩のケーキなんだろうなぁ」
1限目の魔法史の授業の準備を済ませ、エースとデュース、グリムとユウの4人はチャイムがなるまでの雑談を始めた。
エースは前の授業の時、最後の10分間だけ居眠りをしてしまったと言って、取れなかった分のノートをユウのノートを見ながら書き写していた。
因みにデュースのノートは字が汚くて何と書いてあるかわからないらしい。