第4章 花火大会
しばらく進んだ時、急に朔斗が話し始めた。
「日向?どこか掴まってる?落ちんなよ?」
あ、ちゃんと心配はしてくれるんだな、って嬉しくなるじゃん。
「うん、大丈夫。サドルに掴まってるから。」
「は!?」
その瞬間、急に自転車が止まった。急ブレーキは危ないじゃないの。
「お前な、そこは掴まるところじゃねぇから。ほら、こうしとけ。」
朔斗は私の手首を掴んで自分の腰に回してきた。
これじゃまるで、後ろから抱きついてるみたいじゃん。なんか、私の心を見透かされた気分。すごい嬉しいけど、恥ずかしい。
だから、ちょっと躊躇ってTシャツを掴んでた。でも、だんだん慣れてきて、結局抱きつく形に…。朔斗の背中に耳を寄せてみる。
すると、ちょっと普通より早めの心拍。もしかして緊張してる?……そんなわけないか。2人乗りって疲れるから息が上がってるだけかな。
それより、私の心拍数が上がってることが気づかれないといいな。