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キメツ学園ー未来編【鬼滅の刃】

第40章 夜の夢ー耳飾りー


炎のなかを駆けぬけたせいで身体中がすすけていて、着物も所々焦げている。もちろん髪もボサボサで。

見る人が見ればすぐに醜い戦孤児だとわかる。


目の前の人もわかったみたいだった。


私は自分を抱き上げるその人と、目の前の人を交互に見比べた。


「兄上」


表情は変わらないけれど、困っているのがわかる。


「その…子供は……」


私を見つめるので、私もじっと見つめ返した。


「拾った」

「拾った…?」


同じ声、同じ顔、同じ体型。

けど、二人から感じるものは全く違った。


私はふと気になって、目の前の人に手を伸ばした。


「鬼から逃げていた。だから拾った。…どうした?」

「…む?」


目の前の人と私を抱き上げる人は私が手を伸ばしていることに気づいた。目の前の人が軽くしゃがむ。

すぐ側に顔があった。

私は耳に手を伸ばした。


そっくりな二人だけど、唯一この耳飾りだけが違った。

手で触れば、耳飾りはチャリ、と音をたてて揺れた。


その瞬間、何かが私に流れ込んできた。


弱りきった女の人が見える。苦しそうにしている。その人が、幼子とぴたりと寄り添っている…。


……これは記憶だろうか。この耳飾りに眠る記憶だろうか。


見えぬものをとらえた私が目を見開いていると、目の前の人がにこりと微笑んだ。


「耳飾りが気になるのか?」

「………」

「これはお守りだ」


その人は、私の頭をそっと撫でた。


「……兄上、ひとまずは本部へ連れていった方が良いかと思います。」

「ああ、そのつもりだ。安全な場まで連れていかねばならない。治療もせねば。」


私を抱く人が私の足に目を落とした。

私の足にはほんの少しだけかすり傷があった。鬼から逃げたときに出来たものだ。


「もう少し我慢するのだぞ、阿国」


私はそう言われて、こくんと頷いた。
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