第6章 honey.6
「昔は俺も一途な男だったんだから」
「今はチャラいけどな…」
聞いてもいない昔の事を語りだした彰にツッコミを入れつつ、言葉に耳を傾ける。
「それを言われると痛いな〜」
彰がははっと笑う。
「俺は結構独占欲が強いタイプだし、束縛だって多少しちゃう…」
いつも取っ替え引っ替えで女と遊ぶこの男の口から独占欲と言う単語が出てくるとは…。
「俺だけを、その瞳に映して欲しい」
彰に体を預けたまま言葉を聞いていると、ふと手首に違和感を感じた。
視線を向けると俺の左手首は彰の手に掴まれていた。
え……?
「好きだから俺は女を抱くんだ…」
背中を丸め、俺の目を覗き込んできた彰と視線が絡む。
好きだから…抱く?
言葉の意味が分からず首を傾げた俺にぐっとさらに彰が距離を詰める。