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きみを想う

第13章 夏夜の願い


くにゃりと体の力が抜け、その場にしゃがみ込む。

「カカシ?大丈夫?」

そんなオレを心配そうにすずらんが覗き込む。

「すぐ来いなんて、てっきりオレは、すずらんが重大な病かなにかなのかと…。
違うんですね?」

はー、と息を吐き、綱手様を見上げる。

「ああ。違う。
だが、お前も関係ある。
だから呼んだんだ」

「え?オレが関係…ある?」

なんですずらんの体とオレが関係あるのかがわからずポカンとしていると、綱手様にゴスっとどつかれる。

「鈍いやつだな。
すずらんが懐妊してると言ってるんだ」

「え?懐妊…」

「ああ、そうだ。
すずらんのこのところの体調不良は、全て妊娠の初期症状だ。
チャクラの流れの変化からも、妊娠してるとみて間違いない」

「…っ」

すずらんを見ると、下腹を撫でて幸せそうに微笑んでいる。

たくさんの言葉が頭に溢れすぎて、何も言えなくなってしまう。

「このまま帰ってもらっていいが、妊娠中は血液が薄まって、でも血は大量に必要になり、貧血を起こしやすくなる。
血を作る食品を多く摂ることだ」

「はい。ありがとうございます」

すずらんが礼を言うと、綱手様が「おめでとう」と一言残して去っていった。


「カカシ、心配して早く来てくれたんだね。
ありがとう。」

微笑むすずらんのそばにより、その頬を撫でる。

「体はもう大丈夫?」

「うん。もう全然大丈夫だよ」

ホッとして、すずらんをぎゅっと抱きしめる。

「…よかった。

「え?」

掠れてちゃんと声にならなかったから、すずらんが聞き返す。

少し体を離し、すずらんを見つめる。

「お腹、触ってもいい?」

「うん」

すずらんの下腹にそうっと手を当てる。
まだ平らなすずらんのお腹。
でも、この中にオレたちの子がいる。
フワフワとまだ現実味のない事実。
でも…。

「すずらん、オレ、今すごい幸せかも…」

胸が熱くなって涙が出そうになり、すずらんをもう一度抱きしめると、すずらんもそっと背中に手を回し、オレの肩に頭を預けた。

「わたしもだよ。こんなに嬉しいんだね」

少し涙声のすずらんによけいに胸が熱くなり、強く強くすずらんを抱きしめた。
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