第15章 永遠
「普通の家庭も知らないオレに、こんな幸せな家庭が築けるなんて、思ってもなかったから。
すずらんのおかげ。
ありがとう」
「ちがうよ!」
すずらんがギュッとオレの手を握り、真剣な顔でオレの目を見る。
「ちがう。
カカシとだから、出来たんだよ。
今は2人で作ってきたものでしょ?
今幸せなのは、2人のおかげなんだよ」
「そう、かな……」
帰りは相変わらず遅いし、休みは少ないし、決していい父親ではないはずだ。
それでもすずらんはそんな風にいつでも言ってくれる。
「そうだよ。
いつも私たちを愛してくれて、ありがとう」
にっこり笑ってすずらんがオレに抱きついてくる。
フワリと香る落ち着くすずらんのいい匂い。
向かい合うように向きを変え、背中に手を回しギュッと抱き寄せる。
「すずらん、愛してる」
こんなに愛しいと思える人に出会えるなんて、奇跡だ。
これまでも、これからもずっとずっと、オレはきみを想うんだろう。
永遠に…。
fin.