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きみを想う

第10章 初夜


「つ、つかれた……」

ばたりとベッドの上に倒れ込む。

わたしたちは、今日結婚式を挙げた。

ここは、式場から程近いホテルの一室。
式やパーティを終え、今ようやくこの部屋に帰ってきた。

あのお正月のプロポーズから5ヶ月。
準備期間を経て、今日やっと2人は夫婦になった。
左手の薬指に光る指輪を、顔の上にかざして眺める。
指輪が光を反射してきらめく。

本当にカカシと結婚したんだなぁ。
たくさんの人にお祝いしてもらえて嬉しかったなぁ。

「すずらん、ドレス脱がなきゃクシャクシャになっちゃうよ」

「はーい」

返事をして体を捻ってクローゼットの前のカカシを見る。
カカシはちょうどシャツを脱いで、上半身裸の状態だった。

「わっ!!!」

パッと慌てて視線をそらせる。

ギシっとカカシがベットの上に上がってくるのが、音と気配でわかる。
ゆっくりと、わたしの真上に来て、顔の横に手をつく。

「オレのお嫁さんは、オレの裸見て恥ずかしがってんの?」

カカシがすごく楽しそうに言う。
直視できないわたしの顎をカカシが持って、強引にカカシの方を向かされる。
カカシが意地悪な顔で笑う。

「すずらんのドレスも、脱がないなら、オレが脱がしちゃうよ」

そう言ってファスナーを探すように、わたしの背中に手を回す。

「だ、大丈夫!自分で脱げるから!」

覆いかぶさるように上にカカシがいるから、どこにも逃げられない。
すーっとファスナーが下ろされる。

「あの!かっカカシっ!!」

思わず目をギュッと閉じると、唇に優しく何かが触れた。
そっと目を開けるとカカシが触れていた唇を離し、クスクスおかしそうに笑っている。

「1人じゃ下げるの難しいでしょ」

そう言っておでこにちゅ、とキスしてわたしの上からどく。

「オレはシャワー浴びてくるから、その間に着替えといて」

そう言ってバスルームに入っていってしまう。

顔に熱が集まっていく。
心臓がものすごい速さで脈を打つ。
わたしは今夜、心臓が持つのだろうか……。
わたしはカカシと、今日……。

怖くないと言ったらウソになるが、カカシとひとつになれるという喜びの方が大きいと思う。

さっきのカカシの無駄な贅肉の一切ない、均整の取れた体を思い出す。

たくさん傷があったな……。

それは、彼が忍として生きてきた証なのだろう。
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