第6章 誕生日
8月も終わりに近づいた頃、一通の手紙が届いた。
送り主は「春野 サクラ」
知らない名前だった。
開けて読むと、カカシの誕生日が9月15日で、みんなでサプライズの誕生日パーティーをするから一緒にお祝いしてほしい、という内容だった。
この子は、カカシの元教え子らしい。
ふふ、カカシ、愛されてるなぁ。
丁寧な文字で書かれた手紙を折り畳み、さっそく返事を書く。
カカシの誕生日がもうすぐだったなんて、全然知らなかった。
楽しい日になるといいなぁ。
プレゼントもあげたいな。
何が嬉しいだろう……。
そこでハタと止まる。
男の人、しかも忍者が欲しいものっていったいなんだろう……。
想像もつかない。
本人に聞いても絶対何もいらないって言いそうだし……。
考え事をしながら歩いていると、人にぶつかってしまう。
「あ…、ごめんなさい」
「すみません!」
同時に謝り顔を上げると、ソウマだった。
「あっソウマ……」
「お、おう。
なんか、久しぶりだな」
2人ともまだ少しギクシャクしてしまう。
「そだね。
あっ、赤ちゃんできたってきいたよ。
おめでとう」
「ん、ありがと……」
シーン、としてしまい、気まずい雰囲気になってしまう。
そのとき、ソウマが警備のために身につけている刀を見て、ハッと思いつく。
ソウマも武人だ。
忍者ではないけど、欲しいものは似てるかも。
「あ、あのね、女の子から貰って嬉しいものって何?」
ソウマがちょっとびっくりした顔をする。
でもすぐ思案顔になって考えてくれる。
「んー、なんだろ…。
あっ、ホウキ!
なんか家のやつ折れちゃったから」
「それはふつうに買いなよ!」
思わず昔みたいに突っ込んでしまい、フッと2人同時に吹き出す。
「お前のツッコミ久しぶりに受けたわ」
「あたしも久しぶりに突っ込んだよ」
「火影様にあげるのか?」
ソウマが知ってることに、少し驚いてしまう。
カカシと付き合いだしたことは、もう屋敷中に広まっていた。
そりゃ、ソウマも知ってるよね。
「うん。もうすぐ誕生日なんだ。
でも、男の人で忍者でってなったら、何あげていいか、見当もつかなくて。」
「うーん。しかも火影だろ。
オレにも検討もつかないけど……。
きっと忙しいだろうから、なんか癒されるものがいいんじゃね?」