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きみを想う

第3章 風邪


「え!?
これは、わたしのお礼なんでもらえません!」

「いえ、すずらんさんが今日来てくれたからこんなに早く良くなったんです。
何か、考えておいてください」

少し考えて、すずらんが少し顔を赤らめて、「じゃあ、また会ってくれませんか?」と言う。

あまりにも意外な答えに、思わず答えに詰まってしまう。


「あっ、……」

すずらんも自分の言った言葉に恥ずかしくなったのか、みるみる真っ赤になる。

「やっぱりいいです!!
じゃ、じゃあ、下で待ってくれてるんで、そろそろ行きますね!
お大事にしてください!!」

荷物を抱えて、足早にドアに向かう。

その後ろ姿に、「どこに行きたいか、考えておいてください!」と、叫ぶ。

ドアを開けようとしていたすずらんが、ビックリした顔で振り向き、それからニコリと笑ってコクリと頷き部屋を出て行く。

「………」

しゃがんで頭を垂れ、はぁ、とため息をつく。

「何あれ……、可愛すぎでしょ……」

自分の気持ちが揺さぶられて制御できない久しぶりの感覚に、自分でもビックリしてしまう。
10代じゃあるまいし……。

しばらく動けずにいたが

「寝よ」

そう呟いて、考えるのをやめ歯を磨いて布団に潜り込む。
目を閉じると、すずらんの笑顔が脳裏に浮かんで目を開ける。

「重症だ……」

くるりと寝返りをうち布団にうずくまり、しばらくすずらんの残像と闘ってから、やっと眠気がやってきてオレは夢の中に落ちていった。
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