第3章 風邪
ゴホ、ゴホゴホ……
「大丈夫ですか?
せき、酷いっすね。」
「ん、ちょっと風邪ひいたかも。
昨日かなり濡れちゃったからね」
本当はかなり頭痛と悪寒もあったが、平気なフリをして書類に目を通す。
「しんどかったら、無理せず綱手様んとこ行って休んで下さい。
この書類の山は、2、3日休んでも大して変わりませんから」
「ん、確かに……、ありがと。
我慢できなくなったら、そうさせてもらうね」
昼までは粘ってみたが、頭痛が酷くなってきたのでシズネにも来てもらい、2人に後を頼み綱手様のところに向かう。
「お前、働きすぎだ。
ろくに寝てないだろう!
仕事は手伝ってやるからしばらく休め!!」
「ありがとうございます……」
薬をもらい、すぐ食べれるパンやゼリー、果物を適当に買い込み家路を急ぐ。
「さむ……」
グラグラする頭でなんとか家に着くと、靴と火影マントだけを脱いでベットに倒れ込む。
風邪なんていつぶりだろう、なんて考えながら布団にくるまると、寝不足も手伝ってその日はそのまま朝まで眠ってしまった。
ヒヤリ。
気持ちいい。
おでこに何か冷たいものが当たる感覚で目が覚める。
「あ、目が覚めましたか?」
目を数回しばたいて、声のした方を向く。
「えっ!?」
実際には掠れて声にならなかったが、あまりにも驚いて起き上がる。
まだ夢を見てるのか?
そこには、マスクとエプロンをつけたすずらんが座っていた。
「どうして、ここに……」
「綱手様に頼まれたんです。
風邪で1人倒れているから看病してやってくれって」
「えっ!なんっ!?
ゴホっゴホゴホ……」
あまりのことにむせてしまうオレを、大丈夫ですか?とすずらんが気遣う。
「冷えるから、ちゃんとお布団に入ってください」
そう言って、しぶしぶ寝転んだオレに布団を肩まできっちりかける。
「よく、大名様が許しましたね……」
「父も火影様のことが気に入っているんですよ。
それに、火影様が風邪をひいてしまったのはわたしのせいです。
だから、どうしてもお詫びに看病したかったんです……」
「あなたのせいではないですよ。
オレの体調管理がなってなかっただけです。
不甲斐ないです」
「先の大戦で、木の葉は大変と聞いています。
どうか、ご無理なさらないでください」