第1章 ユビキリ【参輝×武政】
「み、みつき…?」
「うん。それよりさ、こっち向いてくれる?」
「…いやだ」
「なんでだよ」
「…」
そう聞いても武政は答えてくれなかった。無理やりこっちを向かせて軽くキスをする。
顔を離した時に武政の顔を見ればそこには涙を流した跡あった。目にはまだ涙を溜めていて、今にも零れ落ちそうだった。
「武政、本当のこと教えて?俺怒ったりしないからさ?」
「…みつきが悪いんだよ…」
「…え、俺?」
「最近全然構ってくれないし…その割には他のメンバーと仲良くするし…もう俺のことはどうでもいいの…?」
そう言い切る頃にはもう涙が武政の頬を伝っていた。
「どうでもいいわけないだろ、俺には武政しかいないし。」
そう言うと武政はほんとうに?、と聞くように顔を上げた。
「本当だからもう泣くな」
武政の目から溢れる涙を手で拭う。
「ほら、笑え」
「…うん!」
そう言って笑顔を見せる。その笑顔は今まで見てきた中で1番可愛いと思う笑顔だった。やっぱり武政は笑顔が似合う。ずっと独り占めしていたい。
そう思いながら優しく抱きしめて耳元でこう囁く。
「愛してるよ…」
と。それが余程嬉しかったのか抱きしめてくる力が少しだけ強くなる。
それからお互い顔を見合わせてキスをする。
「これからもずっと俺は武政だけだから。俺から絶対離れんなよ。」
「約束ね」
そう言ってこの年で?とは思うが"ユビキリ"をする。そのまま今夜は一緒に寝た。お互いを強く抱きしめて。