第6章 ※夜這い星の褥※
「まだだ・・。キリカ・・・、もっと啼かせてやろう・・・」
黒死牟は思わず吐精しそうになるのを何とか堪えた。
キリカの腿を担ぎ、それぞれを己の肩に載せた。そして、のし掛かるように身体を押し付けながら勢いよく貫いた。
「ひぁっ、」
再び快楽を煽り立てられ、キリカは黒死牟の身体にしがみついた。黒死牟の動きに合わせて腰を揺する。
「巌勝様っ、もっと・・・、あぁっ、んっ・・」
キリカの悩ましい喘ぎ声に応えるように、黒死牟の動きがますます激しくなっていく。濡れた音、肌と肌がぶつかり合う音が辺りに響いた。
「キリカっ・・、」
吐精を促すような、きつい締め付けに耐えきれず、黒死牟が精を放つ。溢れんばかりの吐精を受け、キリカもまた三度目の極みを迎えていた。
「・・・っ、・・」
繋がったままの二人の荒い吐息が夜風に溶けていく。
どちらも互いを離そうとしない。肌を重ね合い、指を、足を絡めあい、まるで互いの存在を確認し合うかのように。
「・・・・」
キリカが、ふと目を開けた。己を覗き込んでいる黒死牟と目が合う。
「巌勝様・・・・」
包み込む温もりに安堵し、柔らかく微笑んだ。
自分は幸せだと思った。今まで求めていたものは、ここにある。揺るぎない存在に愛し、愛される。
それを実感した所為だろうか。涙が頬を伝った。
「どうした・・・?」と黒死牟が気遣わしげに問いかけてきた。
「分かりません。何故か、急に・・・」
言いながら、急いで目を擦る。
「私、幸せです。幸せ過ぎて怖いぐらいです・・・」
「キリカ・・・、私もだ・・・」
「本当ですか?嬉しいです・・・」
逆上せるような嬉しさが心に満ちる。ぎゅっと、黒死牟の手を握った。黒死牟もキリカの手を握り返す。
(でも・・・・)
キリカの表情が、ふと翳る。そして、僅かに視線を反らした。
「キリカ・・・、どうした・・・?」
「な、何でもありません・・」
「私の前で・・・、隠し事をするのか・・・」
「そういう訳では・・・」